[スペイン語]気分転換にスペイン関連の本を読んでみる(日本語) ~ 最近の読書から

[スペイン語]気分転換にスペイン関連の本を読んでみる(日本語) ~ 最近の読書から

こんにちはちりめんじゃこ(@tirimenJ5)です。

いつの間にか寒くなってきました。久しぶりのブログ更新です。なかなか最近スペイン語もフランス語も時間がとれないんですが、本を読んだりしてました。

ということで、今日は最近読んだスペイン関連の本(日本語)で印象に残ったものを3つほど。
後ろに行くほど強烈です。

1º - 独立したがる理由がよく分かる「物語 カタルーニャの歴史―知られざる地中海帝国の興亡」

物語 カタルーニャの歴史―知られざる地中海帝国の興亡 (中公新書)

<<本データ>>
「物語 カタルーニャの歴史―知られざる地中海帝国の興亡」
田沢 耕 (著)
中公新書、2000年発売
254ページ

カタルーニャ自治州がスペインから分離・独立の是非を問う住民投票を行う、といったニュースがありましたが(結局どうなるのか??)、この本を読んで「なんで独立したがるの?」という以前からあった疑問がちょっと分かったような気がします。

「知られざる地中海帝国の興亡」というように、地中海に面する土地(イタリアのほうまで)が一つの国だった時期があったようで、ここに出てくるエピソードを読んでいるとイベリア半島にはポルトガルみたいにもう一つ国家があってもおかしくないような気がしてきます

エピソードといえば、日本の世界史の教科書には多分出てこないような王の話も興味深いです。

特に、「やさしく読めるスペイン語の昔話
」でも出てきた「ハイメ1世(Jaime I)」 (カタルーニャ語ではジャウマ1世(Jaume I))はやっぱり印象深い
子どもの頃に半人質として暮らしていたところは徳川家康を連想してしまうんですが、ハイメ1世の場合は出生前の母親の“努力”が強烈に独自エピソードとして記憶に残りました。。。

おまけ。
ハイメ1世の領土拡大。
ナレーションは超早い(汗)のであんまり分かりませんが、中世のものと思われる絵が次々出てきて面白い。
1230 Expansión de Aragón: Jaime I

おそらくカタルーニャ語と思われる、ハイメ1世を説明するアニメ。
ハイメ1世の幼少時代、眉毛が太いのが気になる。
もしコレがカタルーニャ語なら、やっぱり方言(dialecto)なんて言えないなぁって思いますね。

Jaume I el Conqueridor

2º - 複雑だけど魅力的なスペインの歴史「イスラム・スペイン千一夜」

イスラム・スペイン千一夜

<<本データ>>
「イスラム・スペイン千一夜」
小西 章子 (著)
中央公論社 、1995年発売
269ページ

もしこの本が高校時代の自分の手元にあれば、スペインのイスラム時代の歴史がしっかり頭に入ったのではなかろうかという一冊。

本書は西ゴート王国が滅びるところから始まりますが、複雑なスペイン・イスラムの時代が分かりやすく、かつ、小説のように臨場感もって読めます。

イスラム教の成立についても簡単ですが触れられており、また、後ウマイヤ朝成立までのアブド・アッラフマーン1世の逃走劇なんかが凄まじくて思わず手に汗握って(?)しまいました。
それにしてもシリアとかイラクとか現在の紛争地帯がいっぱい出てきて、歴史ってあんまり変わらないというか、要するに昔から血の気の多い歴史と文化なんだなぁ、と妙に感心してしまいました。

以前紹介した「アルハンブラ物語」は時系列で語られていないため分かりにくいですが、本書の後半に出てくるグラナダ王国時代を読むとすっきりします

おまけ。
ナレーションが早いけど、迫力のCGとイスラム時代の再現映像で解説されるアルハンブラ宮殿の解説(スペイン語)。
本書を読んでいたら、なんとなく見当がついて分かった気になれました。(驚)
ちょっと大げさな音楽なので50分近いビデオでもなんとか眠くならなかった。

La Alhambra de Granada. Superestructuras Antiguas, de National Geographic.

3º - 自然災害の描写が印象的だった「グアテマラ伝説集」

グアテマラ伝説集 (岩波文庫)

<<本データ>>
「グアテマラ伝説集 」
M.A.アストゥリアス (著)
岩波書店 、2009年発売
281ページ

表紙に書いてある「魔術的リアリズム」って何だ?!

と思って読んだら、超難解でした。。。

書いてあること自体や単語が難解なわけではないですが、物事を淡々と客観的・叙述的に書いてある文章や誰でも分かるような表現で書かれた文章しか読んだ経験しかないと面食らいます。ワタシもものすごい面食らいました。

「伝説集」って書いてあるから、日本昔話のようなものを想像してたんですけど、これは「詩」の世界。
ノーベル文学賞受賞者のM.A.アストゥリアスがふつーの話を書くはずはないことにもっと早く気づくべきだった。と読み始めてから思いました。

詩を読んだり書いたりするのに慣れている人ならスッと入っていけるのかもしれませんが、
私は詩の類はからきしなので、最初はすごーく辛かった。。。

とはいえ、普段読まないような文章を読んでみると、なんとなく世界が広がるような気がするので不思議です。

印象深かったのは、「火山」や「地震」の話。南米も日本と同じく、噴火や地震が多いとは聞いたことがありますが、こういった自然災害の恐ろしさを表現するのって、「溶岩が流れ出して半径○○Kmの地域が壊滅」、みたいな具体的な描写よりもアストゥリアスの詩的表現のほうが妙にリアルに感じられるという不思議を体験しました。
長い歴史と文化を持つ地域での度重なる自然災害の「伝説」が、近年の巨大地震や最近の御嶽山の噴火などとリンクして、読んでいてちょっと恐ろしくなりました。

あと、「やさしく読めるスペイン語の昔話
」に出てくる「帽子男の涙」と関連があるのかと期待して読んだ「「大帽子の男」の伝説」は、全く予期しない話の展開で・・・
禁欲的な生活のあまり変態になった修道士の話なんですが、半分呆れつつなんだか笑ってしまった。

まとめ

印象に残った3冊をご紹介しました。
気になったハイメ1世とか、建築に興味あるアルハンブラ宮殿の動画もYoutube検索したらおもしろそうなものがあったのでリンクしてみました。
なかなか気分転換になります。(ナレーション早くてつかれたけど)