[スペイン語]ガルシア・マルケスの短編集を読んでみる:その④ Muerte constante más allá del amor

[スペイン語]ガルシア・マルケスの短編集を読んでみる:その④ Muerte constante más allá del amor

Muerte constante más allá del amor(愛の彼方の変わることなき死)を読んでみました。

どんな純愛の話かと思ってたら、ぜんぜん違う。勘違いしてました。
読後にタイトルを読み直して納得。

「allá」はどこを指す?

指示代名詞とか指示副詞とか実は苦手です。混乱します。

現代スペイン語辞典を引くと、

aquí ここに(近称の指示副詞 =英語here)
ahí そこに(中称の指示副詞 =英語there)
allí あそこに(遠称の指示副詞 =英語there)
allá あちらの方へ(遠称の指示副詞。allíより方向性がある =英語over there)
más allá de・・・ ・・・の向こう側に、・・・を越えて;・・・以上は(=英語beyond)

と説明してあるんですが、もうひとつよく分からない。。。

ですが、先日読んだ「映画に学ぶスペイン語―台詞のある風景
」(東洋書店 柳原孝敦著)を読んでいたら、わかりやすい説明があったので、それを大雑把に絵にしてみました。(P56の「más allá」の説明)

aquiallialla

「もっと遠く、目に見えない場所」ってすごい感覚的だけど、愛の彼方は確かに目に見えない。

フランス語だったら場所を表す言葉ってここまで遠近にこだわらないのにな。。。

フランス語のセリフ

ところでこの作品にはフランス語のセリフが出てくるのでピックアップしてみました。

- Merde - dijo- , c’est le Blacaman de la politique.
(p61 原文)

「くそったれ。政治のペテン師め!」
(P73 「エレンディラ」ちくま文庫)

いきなり下品な言葉遣い。merdeは糞という意味。スペイン語ならmierdaでよく似てます。

- Moi, vous savez - dijo.
(p62 原文)

「お察しのとおりですよ」
(P75 「エレンディラ」ちくま文庫)

- C’est de la part de mon père - dijo ella.
(p64 原文)

「父に言われて来たんです」
(P77 「エレンディラ」ちくま文庫)

短いけど、登場人物2人がフランス語話者のため以上のようなセリフが。でも結局物語の最後はスペイン語で会話してましたが。

ところで、物語の終盤、どんでん返し(?)で主人公が吐くセリフで、フランス人をののしる言葉が・・・

El senador se puso tenso.《Cabrón franchute》, murmuró indignado.
(p66 原文)

上院議員は体をこわばらせて、「いまいましいフランス野郎奴!」と腹立ちまぎれに呟いた。
(P81 「エレンディラ」ちくま文庫)

「franchute」軽蔑を含んでフランス人、フランス野郎、という言葉だそうで。フランス語にもスペインに対して軽蔑を含んだ言葉があるのかどうか知りませんが、あるのかな?

仏領ギアナと旧オランダ領スリナム

ところで、美女ラウラのパパが入っていたカイエンヌ監獄、(邦訳では「カエナの刑務所」と訳されている)聞いたことあるようなないような・・・で地図を見てみたら、

Googleさん地図

ブラジルの上、コロンビアとはベネズエラ、ガイアナ、スリナムをはさんで「仏領ギアナ
南米にフランス領ってまだあったのか・・・(知らんかった。。。)
カイエンヌ監獄は1946年には閉鎖されて、今は宇宙開発事業が盛んだとか。

確かに2人目の奥さんを見初めたパラマリーボはすぐ近く。
ただし今はオランダ領スリナムでなく、1975年にオランダから独立してスリナム共和国になっているようですが。
ヨーロッパ以外でオランダ語を公用語とする国らしいです。

全くの余談でした。

まとめ

この話の主人公、オネシモ・サンチェスさんは最後の話「エレンディラ~」でも再登場します。
オランダ人が出てくるのが、突拍子もないような気がしてたんですが、全くの自分の知識不足と判明。たまには地図を見るのもいいなぁと反省。

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