スペイン語の色と言い回し vol.2 - 青(azul)と緑(verde)。なぜ貴族とエロなのか?

スペイン語の色と言い回し vol.2 - 青(azul)と緑(verde)。なぜ貴族とエロなのか?

今回は落ち着く色、青(azul)と緑(verde)について。

青も緑も、綺麗な色ですが、それぞれまた面白い表現があって、なんでそんな意味になる?と常々思っていたので調べてみました。

貴族を意味する「azul sangre」と、エロ親父を意味する「un viejo verde」。

どちらにもそれぞれの歴史があるようです。

青(azul)


azul(n.m.。形容詞は性変化なし)

辞書引くと、

「sangre azul」貴族
「príncipe azul」理想の男性
「banco azul」(スペイン国会で首相や大臣が座る)第一列の席

など、なんかちょっと高貴なイメージの使われ方が出てる。

「Sangre Azul」~ なぜ貴族は青い血だと思われるようになったか?

スペインでは、貴族、名門の生まれ・血筋・血統のことを、「sangre azul」というんですが、
それも、昔は貴族は「青い血が流れている」と思われていたと言われています。

なぜ「青い血」なのか?

それは、ズバリ、色白の貴族の青い静脈から来ているらしい。

そもそも貴族(los aristócratas)は農民(los campesinos)や職人(los artesanos)のように、炎天下で働かないので日焼けせず、
肌の色が白い
です。

色白の人の手首なんか見ると、青い静脈(las venas)がよく見えますよね。この白い肌から透けて見える青い静脈を見て、
昔の人は「貴族は青い血が流れてる!」って思ったらしい
です。

一説によると、この表現は9世紀ごろに生れたとか。ずいぶん昔ですね。

農民や職人との生活の違いだけでなく、その頃イベリア半島の大部分を支配していたモーロ人(los moros)や、ユダヤ人(los judíos)などの異民族の血が混じっていないことを示すのに、この青い血「sangre azul」はとても大事だったそうな。
自分達は(金髪碧眼色白の)西ゴート(los visigodos)の末裔だ、みたいな血統の純粋さを示したかったようです。
(特にレコンキスタ最盛期あたり。)

でも、「azul」ってもともとはアラビア語(lazuward「るり」を意味する)から派生した言葉らしいんですよね。
「sangre azul」って、混血してなくても、言葉(文化)は既に混ざってるじゃない?!って、つっこみたくなりますね。

また、由緒正しい血統であることを示す「sangre azul」であるために、貴族の人々にはいろんな努力があったようです。

大理石(mármol)のような白い肌を理想として、貴族は極力日焼けしないように薄暗いところに居て、時には病気になったり
チアノーゼ(cianosis)という、血液中の酸素の減少によって呼吸困難や血行障害になって皮膚や粘膜が青紫色になる病気。enfermedad azulともいう)、ムリに食器で食事を摂ったり(銀中毒になると皮膚上皮が青灰色化したり血液を始めとする病気になる)、
なんだか色々と白くなるためにがんばってたみたいです。

また、血統を保つためには同族結婚(endogamia)を繰り返したりもしたようで、有名なのは、スペイン・ハプスブルク家最後の王カルロス2世(1661~1700)。
両親が叔父と姪の関係で、その前の世代も近親婚だったせいか、カルロス2世は生れたときから病弱で大変だったようです。

あんまり病弱で大変だったため、「el Hechizado」(呪われた王)と形容されるほど。

肖像画見ても、青白くてなんか、príncipe azulとは程遠いかんじですね。。。(4歳で王位につくのでpríncipeだった時代は短いが)

(参考)
http://www.abc.es/casa-del-rey/20140620/abci-reyes-sangre-azul-201406191335.html

緑(verde)


verde(n.m.。形容詞は性変化なし)。

お次はエロ親父を意味する「viejo verde」。

緑って、リフレッシュする色、落ち着く色(equilibrado)で、どちらかというと良いイメージ。
まぁ、ちょっとネガティブな意味あいとしては、青二才みたいな「未熟な」っていう使われ方くらいかと思ってたんですが、
まさかエロとは。

どこからエロが出てくるのか腑に落ちなかったんですが・・・

もともとは良い意味だった「緑のおじさん」

実は、「viejo verde」、もともとは良い意味だったようです。

歳のわりには、若々しく(lozania)健康で元気で(buena salud)、活力溢れる(juventud、vitalidad、energía、vigorosidad)、そんなご老人のことを意味する言葉だったようです。

緑(verde)はラテン語「viridis」(緑の;新鮮な) が語源で、木々の緑の生気や活力とのイメージもあってか、活力(vigor)を想起させる言葉だったようで、すでに紀元前1世紀頃から、ローマの詩人ウェルギリウス(Publio Virgilio Marón)がアエニイス(la Eneida)の中で活力を表現するのに緑という言葉を使ってたらしい。

18世紀頃からネガティブな意味に変化

なので、長い間は良い意味で(たぶん賞賛の言葉として)使われていたと思われる「viejo verde」ですが、
18世紀頃からはネガティブな意味で使われるようになってきたらしいです。

想像ですが、「歳のわりに(普通の意味で)元気で・・・」というのが、「歳のわりに精力絶倫で・・・」みたいな、ちょっと皮肉な使われ方をされるようになって、それが定着していったのではないかと。。

今ではちょっと軽蔑的な(despectivo)意味になっちゃって、好色(lascivia)、わいせつ(obscenidad)、劣情(lujuria)なイメージとなっちゃったのはちょっと悲しいですね。

(参考)
http://blogs.20minutos.es/yaestaellistoquetodolosabe/cual-es-el-origen-de-la-expresion-ser-un-viejo-verde/

まとめ

面白い表現だけど、色のイメージからは素直にナットクできずにいた「sangre azul」「viejo verde」ですが、
ちょっと腑に落ちた感じです。

特に、緑のおじさんはもともとは悪い人じゃーなかったんだ、っていうのが、一番良かったかな(笑)。

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