「mettre」という動詞はフランス語の学習初めのほうですぐに出てくるチョー基本動詞ですが、
意味も使われ方もいろいろあって覚えずらい。実は私、mettreって動詞は苦手です。
ということで、苦手を克服すべく、復習することにしました。
「ラルースやさしい仏仏辞典 NIVEAV 1」は「語の基本的な意味、使い方」について説明されているので、
mettreの持つ多くの用法や意味に惑わされず、大事なところを学べます。
というわけで、「ラルースやさしい仏仏辞典」から例文や用法を参考に見てみます。
その① 置く、入れる、etc.、基本的意味の「mettre」
置く、入れる (mettre 物、場所)
まず最初にmettreの使い方の例として挙げられていたのが以下の例文。
「入れる」という意味ももちろんあるけど、カバーする範囲は多く、日本語では単に「入れる」とは訳せないケースも多々。
・Tu mets ta voiture au garage, toi?
・Mettez votre nom au bas de la page.
・Tu as mis trop de sel dans la soupe, ce n’est pas bon!
・Pierre a mis beaucoup d’argent dans cette affaire, espérons que ça marchera.
<仮訳>
・ガレージに車を停める?
・ページの下に署名してください。
・スープに塩を入れすぎだよ、おいしくない!
・ピエールはこの事業にたくさんお金を投資した。上手くいけばいいが。
この場合のmettreは、placer, poser, ranger, apposer(サインする。名前、署名の場合), investir(投資する。お金の場合)などと言い換えられる。
署名する、とか投資する、なんていうのにもmettreが使えるとはね。。apposerとかinvestirなんて言葉が出てこなくてもmettreのこんな使い方を知っていれば表現できる。
服を着る、化粧をする、めがねをかける (mettre 服など)
服を着る、身につけるという意味なら想像つくけど、化粧もOKとは。身づくろいにもmettreが使える。
・Zut! je n’ai rien à mettre pour sortir ce soir!
・Il va falloir que je mette des lunettes, je vois de plus en plus mal.
・Tu as mis trop de rouge à lèvres, ce n’est pas beau.
<仮訳>
・おっと!今晩着ていく服がないや!
・メガネをかけないといけないなぁ、目がだんだん悪くなってきた。
・君、口紅を塗りすぎだね、あんまり良くないよ。
porter(服を着る)と言い換え可能。
服を脱ぐなら、ôter, enlever。
身を置く (se mettre 場所)
お次は、「se mettre」です。
・Je me mets derrière toi, je ne veux pas qu’on me voie.
・Oh! pardon, je me suis mis à votre place.
<仮訳>
・君の後ろに隠れよう、人に見られたくないんだ。
・すみません!あなたの席に座ってました。(席を間違えてた)
同義語は「se placer」
身の置き所がない (ne plus savoir où se mettre)
これは先のse mettreの応用バージョン(?)的な言い回し。
・J’avais honte, je ne savais plus où me mettre.
<仮訳>
・私、恥ずかしかったわ~、身の置き場がなかったわ。
言い換えは、
mal à l’aise (窮屈で、気兼ねして、落ち着かない)
avoir honte(恥ずかしい)
直訳したら、「自分の身を置く場所すら分からない」。
日本語でも、恥ずかしくて穴があったら入りたい、なんていいますよね。
この「穴があったら入りたい」的な表現、スペイン語でも
no saber dónde meterse de la vergüenza
という似たような言い方があって面白い。
(saber=savoir、dónde=où、meterse=se mettre、vergüenza=honte)
発想は一緒。
その② 時間がかかる、という意味の「mettre」
~する時間がかかる (mettre 時間 àまたは pour+inf.)
・Je suis en retard, j’ai mis une heure pour venir.
・En voyant la tête qu’il faisait, je n’ai pas mis longtemps à comprendre.
<仮訳>
・私遅刻しました。来るのに1時間かかりました。
・彼の髪型をみたら、気づくのに時間はかからなかったよ。
この「時間がかかる」は「prendre」を使って次のようにも言い換えが可能。
Ça m’a pris une houre pour venir.
mettreは人が主語
prendreは人が目的語に代わっていることに注意!
その③ 名詞・不定詞をつづけた場合の「mettre」
だんだんと、ややこしくなってきました…
言われれば一瞬は分かるんだけど、すぐ忘れてしまうパターン。
~の状態にする、変える (mettre 人・物 à(en) n. , se mettre 人・物 à(en) 名詞)
・Il paraît que ce n’etait pas lui le voleur, on va le mettre en liberté.
・Je n’arrive pas à mettre la voiture en marche, elle doit être en panne.
・On t’a mis au courant de ce qui s’est passé hier?
<仮訳>
・彼は泥棒ではないようだから、釈放されるだろう。
・車を動かせないわ。壊れてるにちがいない。
・誰か君に昨日の事を教えたのかい?
「mettre 人・物 à(en) ある状態」で、人・物をある状態にする、変える。
どれも他の動詞を使って言い換えが可能で、
mettre en liberté ⇒ libérer
mettre en marche ⇒ faire marcher (faire inf. ~させる)
mettre au courant ⇒ informer
のように言い換えられます。
~を・・・させる (mettre 物 à inf.)
・Vous avez fini de dîner? Je mets le café à chauffer.
<仮訳>
・夕食は済んだ?コーヒーを温めるわね。
これもfaireを使って「faire chauffer le café」と言い換え可能。
~し始める (主語が人、雨・風・雪など、非人称のilで se mettre à+inf.)
・Aline s’est mise à pleurer quand on lui a appris qu’elle avait raté son examen.
・Juste au moment où on sortait, il s’est mis à pleuvoir.
<仮訳>
・試験に落ちたと聞いて、アリーヌは泣き出した。
・ちょうど出かけるときに、雨が降り出した。
言い換えは「commencer à inf.」
arrêter, cesser, finir de inf.が反対の意味になります。
[邪魔なものが]加わる (s’y mettre)
・Je t’en prie, n’interviens pas: si toi aussi tu t’y mets, on n’en sortira jamais.
<仮訳>
・お願いだから、邪魔しないで。君にまで邪魔されたら、仕事が終わらないよ。
同義語としてあげられているのは「s’en mêler(邪魔が入る)」
こういう「y」が入ってくる表現って知らないと、yは何を指しているんだ?とかおかしなことを考え始めてしまって混乱してしまいます。
仏和大辞典に載っている意味としては、
(仏和大辞典)
①仕事にとりかかる
②参加する、(敵対するグループに)加わる
③(不都合な事が)起こる、発生する
②の意味で出ている例文は、
Si toi tu t’y mets, on n’arrivera à rien.
(もしも君まで加わったら、もうお手上げだな)
なんですが、ラルース仏仏で挙げられている同義語「s’en mêler(邪魔が入る)」から考えて、
君=邪魔者が「加わる」というイメージと解釈しました。
さいごに
いろいろ使い方がある動詞「mettre」。用法や意味もたくさんあってなかなか覚えきれないですが、
さらにこの動詞、不規則活用するなのでややこしいです。
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