[スペイン語:鳥図鑑]モズ(Alcaudón)。名前の由来とか種類とか。

[スペイン語:鳥図鑑]モズ(Alcaudón)。名前の由来とか種類とか。

上の画像(ズアカモズ):Alcaudón común (Lanius senator) By: Juan Emilio

まだ11月というのに、凍るような寒さになってきました。
秋を通り越して冬になったような感じですが、初秋になわばり宣言である「高鳴き」をするのでも有名なモズを思い出したので、
今回はスペインの鳥図鑑でモズを調べてみました。

モズはこんな鳥

20160304-DSC_3092 By: HIRO KOTA
日本のモズ(左:オス、右:メス)

モズ、って見たことありますか?
全長20 cmくらいの鳥で、スズメ(15cmくらい)より大きめの鳥ですが、色も地味なのであまり姿が目立つ、っていうわけでもなく、鳴き声でその存在に気づく事が多いかもしれません。

見た目はコロッとしたカワイイ鳥なんですが、
昆虫とかトカゲとか、自分より小さい鳥やネズミなんかも食べ、獲った獲物を有刺鉄線なんかに突き刺す習性はやにえ)があります。

くちばしの形は、ワシやタカなんかの猛禽類と同じように、下に曲がってます。
「小さな猛禽類」みたいな印象を受けます。(モズは分類上はスズメ目モズ科)

モズの名前の由来(日本、スペイン、フランス)

日本には年中いる留鳥だけど、越冬の前のなわばり宣言である「高鳴き」で思い出す鳥でもあります。

日本では、他の鳥の鳴き声をまねたりするので、百の舌を持つ鳥、ということで、「百舌鳥」を「モズ」と読ませるようです。

スペインの鳥図鑑では、モズ科の鳥

Alcaudón

と言いますが、語頭に「Al」がついている単語から想像つくように、
語源はアラビア語(そのもとはラテン語)のようで、cabezón(頭でっかち、頑固者)という意味からきているようです。

たしかに、カワセミほどではないけど、他の小鳥より身体に対して頭は大きめかも。

[DRAEより]
alcaudón
Del ár. hisp. *alqabṭún, y este quizá del lat. capĭto, -ōnis ‘cabezón’.

手持ちのスペインの鳥図鑑では鳴き声についての記述はなかったんですが、
フランス語ではモズ科の鳥

Pie-grièche

って言います。
Pie」はぶちのある動物カササギおしゃべり女、という意味があり、
grièche」は怒りっぽい女、がみがみいう女という意味があります。

モズの鳴き声の大きさ、しつこさから来ている名前なのかな?と想像しちゃいます。(がみがみ言ったり怒りっぽいのが「女」だというのは感心しないが)

「モズ」といってもいろんな種類が

セアカモズ(Alcaudón dorsirrojo)
Shrike red-backed shrike (Lanius collurio) Faneromeni 09/05/14 By: Michael Sveikutis
セアカモズ

モズ、といえば日本では「学名:Lanius bucephalus」のこと、らしいんですが、いろいろ他にも種類があります。

スペインの鳥図鑑に載ってたのは、

セアカモズAlcaudón dorsirrojo)
オオモズ (Alcaudón real)
ズアカモズ (Alcaudón común)

の3種。

dorsirrojoって辞書には載ってない単語ですが、dorso(背中)rojo(赤い)がくっついた単語なんだろうな~という想像は働きます。

日本にいるモズは、スペイン語では「Alcaudón bucéfalo」というようですが、スペインにはいないようです。
ちなみに「bucéfalo」は「まぬけ」って意味。まぬけ、って言われるとなんかイヤな気分だけど。

モズの有名な習性「はやにえ」

Alcaudón real (Lanius meridionalis) By: Juan Emilio
オオモズ

モズにもいろんな種類があるものの、やはり「はやにえ」はどこも共通のようです。

「はやにえ」とは、獲った獲物を有刺鉄線や木の枝なんかに串刺し(empalar)する、アレです。

カワイイ見た目なのに、なかなか残酷な習性とのギャップに驚きます。

セアカモズは

insectos grandes (himemóptero) 大きい昆虫(膜翅類:まくしるい。ミツバチとかハバチとか)
pequeños reptiles 小さな爬虫類
pajarillos 小鳥
pequeños ratones de campo 小さな野ネズミ

オオモズは

insectos grandes
micromamíferos 小さな哺乳類
pajarillos

なんかを捕食します。

セアカモズは低木や茂み、オオモズはそれよりも高い木なのどの上からal acecho(待ち伏せ)して獲物を捕らえ、獲物をはやにえにします。
なんでこんなことをするのかは諸説あるようですが、モズは猛禽類とは違って足の力が弱いため、木の枝なんかに獲物を突き刺して引きちぎって食べるためだとか、貯食のためだとか、いろいろ言われています。

面白い話としては、

はやにえの位置は冬季の積雪量を占うことができるという風説もある。冬の食糧確保という点から、本能的に積雪量を感知しはやにえを雪に隠れない位置に造る、よって位置が低ければその冬は積雪量が少ない、とされる
Wikipedia抜粋 )

今年は寒いので、どれだけ雪が降るのか気になるところ。今年は高いところにはやにえが置かれるのかなぁ。。。

まとめ。モズに関連するスペイン語単語

まず、

alcaudón 「モズ」

はやにえ関係では

alambre de espino 「有刺鉄線」
alambrada 「有刺鉄線」
empalar 「串刺し」

モズのくちばしは

ganchudo「鉤(かぎ)型の」 cf.nariz ganchuda(鉤鼻)

モズがよくいるところは

seto 垣根、生垣
huerto 菜園
pradera 大草原
arbusto 低木、灌木
maleza 雑草

雑草?って思うかもしれませんが、モズって雑草が生い茂っている灌木とか生えている所に巣をつくるみたいです。

nido 
puesta 産卵
incubar 抱卵、孵化

そうそう、最後に、セアカモズ(Alcaudón dorsirrojo)の写真がいっぱい載っているブログを見たのでリンクを貼っておきます。
このブログ↓にも書いてありますが、セアカモズはスペイン全土にいるわけではなくて、北の方(ガリシアとかカンタブリアとか)だけに生息しているようです。
http://docnatureblog.blogspot.jp/2015/07/un-migrador-atipico-alcaudon-dorsirrojo.html
モズはオスメスで羽の色が違うけど、メスの写真も掲載されています。
セアカモズの渡りの図(アフリカとかサウジとかイタリアとかも経由する)も興味深いですね。