前回、動物の場合、男性名詞か女性名詞かどっちなのかを色々調べていたら、
動物に関するいろんな比喩やことわざがあったので、面白かったものを並べてみようと思います。
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主に使用した辞書は「西和中辞典」「現代スペイン語辞典」です。
ただし!
どんなシチュエーションで使われるかとか、微妙なニュアンスなどはこれだけでは分かりませんので、
実際に使用する際は、ご確認の上、自己責任でお願いします!
とうぶつの「たとえ」や「ことわざ」いろいろ
よく映画なんかで言われるセリフに、「あいつは警察のイヌだ!」とかありますが、
そんな感じで人について説明するときに、動物に例えたりしますよね。
スペイン語でもだいたい日本語と同じような感じで使われるものもありますが、前回見た動物がどんな例えに使われているか並べてみます。
犬 perro, perra
ろくでなし、怠け者、忠実な部下・・・
などなどあります。
あんまりイイ意味で使われることなさそう。
犬を形容詞的につかって、
vida perra(みじめな生活、最悪の人生)
なんていう表現もあります。
が、perro viejo(経験をつんだ抜け目のない人、古だぬき)
なんてのもありました。
A perro flaco todo se le vuelven pulgas.
(やせ犬にのみがたかる → 泣き面に蜂)
猫 gato, gata
こそ泥、ずる賢いやつ・・・
スペインでは口語で「マドリード生まれの人」を指すとも載ってました。
犬と同じで、
gato viejo (経験豊かな人、抜け目の無い人)
hacer la gata (メスネコになる→しおらしくする、猫を被る)
なんでかわからないけど、
cuatro gatos(人がまばらな状態)
なんて表現も。
Gato escaldado del agua fría huye.
(熱湯をかけられたことのある猫は水からも逃げる
→ あつものにこりてなますを吹く)
ニワトリ gallo, gallina
雄と雌で比喩が違います。
オンドリ gallo → うぬぼれ屋、ボス、美男(プエルトリコ)、仲間(チリなど)・・・国や地域によって他にもいろいろある
メンドリ gallina → 臆病な、お人よしの
オスはエラソー、メスは弱虫ってイメージ。
それぞれ、
オンドリは
tener mucho gallo(生意気である、いばりくさっている)
メンドリは、
estar como gallina en corral anejo(他所の囲い場に入れられたメンドリのよう → 借りてきた猫のようにおとなしい)
のような表現があるようです。
牛 toro, buey, vaca
toroは「頑強な男」。
vacaはよく分からないけど、太った牝牛(vacas gordas)は好景気、やせた牝牛(vacas flacos)は不景気なんだそうな。
牝牛が元気かどうかで、牛乳の生産量が変わってくるってことでしょうか。
Habló el buey y dijo mu.
(牛が口をきいたらモーだった → 口下手はとんちんかんなことを言う)
羊 carnero, morueco, oveja
黒い羊 oveja negra は、厄介者、はみ出し者。だそうな。
ところで比喩の話ではないですが、carneroはcarne(女性名詞。肉の意味)からの造語だそうです。
oveja(メスの羊)やmorueco(種羊)と区別するために、食肉用の羊をcarneroと呼ぶようになったらしい。ふーん。。。
Cada oveja con su pareja.
(雌羊にはそれぞれつれあいがいる → 類は友を呼ぶ)
類は友を呼ぶ、には他にも
(誰といっしょにいるか私に言いなさい、そうしたら君がどんな人か言ってあげよう)
というのもありますね。
ラバ mulo, mula
辛抱強い人、よく働く人、愚鈍な人、粗野な人、獣のような人・・・
いい意味でも悪い意味でも使われるのかな。
estar hecho un mulo(丈夫である、非常に力が強い)
trabajar como una mula(身を粉にして働く)
こんな表現からも、ラバはスペインでよく働く動物ってことが分かりますね。
キツネ zorro,zorra、raposo,raposa
zorroは抜け目の無い
zorraは売春婦
raposoは狡猾な人・・・
昔話でもキツネはたいてい狡賢い悪役ですよね。
hacerse el zorro(とぼける、知らん顔をする)
雌キツネだけは、vulpécula(vulpeja)といういい方もあるようですが、
これは星座のこぎつね座も指すようです。
馬 caballo, yegua
中南米では、caballoは愚か者、yeguaは軽蔑的に女、あばずれ、を意味するようです。
ラバ(mulo,mula)とはずいぶん違いますね。
他にもいろんな馬がいます。
白い馬 「caballo blanco」 は、危険な企てに出資する人、政治運動家。
良い口の馬 「caballo de buena boca」 は、他人の言いなりになる人、お人よし。
悪魔の馬 「caballo del diablo」 は、トンボ。
A caballo regalado no le mires el diente.
(贈られた馬の歯を見るな(馬の年齢は歯を見れば分かるため) → 贈られたものにケチをつけるな)
ゾウ elefante, elefanta
(特に男の)太った人、まぬけな人
ser un elefante blanco (無用の長物である)
白いゾウって珍しいけど役に立たないってコト?!
なんか象、バカにされてますが、記憶力は抜群らしいです。
tener una memoria de elefante(抜群の記憶力を持っている)
山羊 cabrón, cabra, cabrona
腹黒い、陰険な、妻を寝取られた男、裏切り者・・・
山羊って飼うの大変なのか?っていう気がしてくるくらいイヤーな比喩になってますが、
グアテマラでは頭のイイ人って意味もあるようです。
雌山羊もあんまり良いイメージじゃなくて、
estar como una cabra(頭がおかしくなっている、気がふれている)
La cabra siempre tira al monte.
(ヤギはいつも山に登る。→ 人の性格は変わらない → 三つ子の魂百まで)
最後までなんとなくバカにされてます。
豚 cerdo,cerda
不潔な人、下品な人、下劣な人・・・
ブタは最悪の例えのようで、他にもブタってpuerco(ca)、marrano(na)、cochino(na)なんて呼び方もあるんですけど、
どれも「汚い」「不潔」「卑劣」とか最悪の意味になってます。
なので、人をブタに例えるのはすごーく相手をけなすことになるようです。
辞書には、
??? como un cerdo(豚のように太った)???
って表現がのってますが、こう言うと、「太った」っていうよりは「下品」とか「下劣」って言っていることになるみたい。
太ってるのを例えるなら、まだアザラシ(foca)みたいだって言うほうがマシ、みたいな事が、確かこの本に書いてあったような気がする。(うろおぼえですが。。。
でも面白い本でしたよ!)
どっちにしてもあんまり「太った」とか言わないほうがいいよな気がしますね。
A cada cerdo le llega su San Martín.
(どの豚にも聖マルチヌス祭(11月11日。豚が屠殺されて食べられる)がやってくる
→いずれ報いがくる)
スペインといえばイベリコ豚が有名だけど、徹底してブタは嫌われた表現になってるのは不思議。
山猫 el lince
頭の切れる人。
同じネコでも飼い猫より山猫のほうが評価高そうに見える。
ojos de lince(鋭い目つき)
形容詞的に使って、
Es muy lince para los negocios.(彼は商売では抜け目がない)
カラス el cuervo
Cría cuervos, que te sacarán los ojos.
(カラスを飼いなさい、そうすれば目をカラスにくり抜かれるだろう。
→飼い犬に手をかまれる)
野ウサギ la liebre
臆病者、意気地なし。
Donde menos se piensa, salta la liebre.
(思いがけないところで野ウサギが跳ねる
→思いがけないところで事件は起こる)
飼いウサギconejo(ja)のほうのことわざも。
El conejo ido, el consejo venido.
(ウサギが行った、忠告が来た。→ 忠告してもらった時にはウサギは逃げていた。
→後の祭り)
シャコ、ヤマウズラ la perdiz
Y vivieron felices, comieron perdices y a mí no me dieron.
(それからずっと彼らは幸せに暮らしました。めでたしめでたし。)
特にシャコである必要はなさそうだけど、物語の終わりにはこう言うことになっている。
他にも意味はないけど、語呂あわせで、
というのもあります。
まとめ
ということで、ちと長かったけど、動物の例えやことわざを集めてみました。
やはり、雌雄で言い方が異なる動物(犬やブタなど家畜やペット)の方が、性別固定の動物(カラスとか)よりも、生活に密着してるぶんだけ表現も多いですね。