スペイン語の色と言い回し vol.1 - 白(blanco)黒(negro)灰色(gris)

スペイン語の色と言い回し vol.1 - 白(blanco)黒(negro)灰色(gris)

これからしばらくスペイン語の『色(colores)』について調べてみようと思います。
いろいろ見てたら、「色」に関する面白い表現もあったので、それも取り上げてみたいと思います。

今日はまず、モノクロの(monocromo)の世界から~。

白(blanco)


blanco(n.m.。形容詞はblanco, blanca)。

純粋さ(pureza)、潔白(inocencia)をイメージする色ですよね。
純白」を表すのには他に「albura(n.f.)」なんて単語もあります。

三億円事件を連想する、白い手袋 「guante blanco」

白い手袋、ってべつに何の変哲もない気がしますが、
辞書を見ると、

de guante blanco (話) (特に泥棒などが)暴力的でない;洗練された。
[西和中辞典]

という表現があります。
洗練された手口で盗みをする、といえば、アルセーヌ・ルパンなんか白い手袋をしてそうですね。
日本ではあのナゾの怪事件、三億円事件なんかを連想しちゃいます。

Bofetada con guante blanco ・・・ 白い手袋で平手打ちを食らわす、とは?

ところで、この白い手袋ですが、

Bofetada con guante blanco. または、Cachetada con guante blanco.

という表現もあって、文字通り訳したら、白い手袋をはめて平手打ち(bofetada、cachetada)を食らわす
になりますが、これは、
侮辱、攻撃された時に、相手をののしったり暴力を振るったりして対応するのではなく、
丁寧な言葉だけど相手の痛いところをつきながら言い返してかえって相手を打ち負かす
、というような対応を指すようです。

言葉での応酬、それも「洗練された」方法で相手に打撃を与える、というわけですね。

「pasar la noche en blanco」(徹夜する)の由来は中世の騎士

最初にずばり、この表現を直訳すると、「白装束で夜を過ごす」

「徹夜する」という表現には、
velar(徹夜で看病、通夜、不寝番をする)

というのもあって、このvelar、さらに辞書には

velar las armas (騎士叙任式の前夜、武具のそばで終夜祈りをささげる)
[西和中辞典]

とのっています。これが関係してたりします。

というのも、中世の時代、騎士になるには「叙任式」というものを経なければならず、
その前夜は教会で、武具の前で白装束に着替えて一晩中祈りをささげることになってたようです。

白は純粋、潔白の証でもあるわけで、白い服を着て、「私は潔白、純粋です!」って自らの身を清め誓うという意味があったようですね。

その名残で、「pasar la noche en blanco」(一晩徹夜する)という表現が生まれたらしい。

黒(negro)


negro(n.m.。形容詞はnegro, negra)。

黒といえば、lista negra(ブラックリスト)、mercado negro(闇市)、とか、
邪悪、不正、暗い、とかあんまり良いイメージはないですね。

言い回しもちょっとネガティブなものが多い気がします。

「tener la negra」黒をもつ、とは?

この表現を言い換えると、「tener mala suerte」、つまり、「運が悪い」。

しかしなぜ「la negra」、女性形なのか?ここには隠れた名詞がひそんでたりします。

この省略された名詞はなんと「haba(n.f.) ソラマメ」

これは昔、何か問題を解決するときに、くじ引きで決断するみたいなことがあったそうで、
そのくじ引きに「haba(ソラマメ)」が使われたことから来ているらしい。
袋の中にソラマメ入れて、取り出したソラマメの色が白だと吉、黒だと凶、みたいな、感じですかね。

昔から白と黒はお告げの色に使われることがあったようで、白い石と黒い石を使って吉凶を占ったりもしてたようです。

灰色(gris)


gris(n.m.。形容詞は性変化なし)。

話は飛びますが、昔、「猫が行方不明 (原題:Chacun cherche son chat)」というフランス映画を観たとき、
主人公が飼っている灰色のネコが確か「グリグリ」(Gris-Gris)って名前で、灰色=gris(仏語)という単語を覚えたのを覚えてます。

つまり、フランス語とスペイン語で「灰色」は「gris」で同じなんですね。

辞書を見てもやっぱり、

[←?[古プロバンス]gris ←[フランク]*gris ; 関連[仏]gris]
[西和中辞典]

とあり、フランス語辞書を見てみると、

<フランク語 *grîs ← ゲルマン語*(略)>
[仏和大辞典]

要するに、grisって言葉は、ゲルマン(ドイツとかもっと北のほう)から来ていると。
なるほど、スペインでは灰色の空ってイメージあんまりないけど、北のほうだとしょっちゅう空が灰色っぽいですよね。

みょうなところで独りがてんしてしまった。。。

灰色の脳細胞 「cellules grises」

有名なあの名探偵ポワロの「灰色の脳細胞」。
フランス語では「matière grise」ですが、スペイン語でも「頭脳、知能、思考」を指します。

でも、
estudiante gris」だと、「ぱっとしない学生」なんだそうな。

灰色はその他にも

ダークグレーだと「marengo」(n.m. 形容詞は性変化なし)
灰色の、という形容詞的用法には「ceniciento」(女性形はcenicientaceniza(n.f. 灰))があります。
La Cenicientaは「シンデレラ」。)

まとめ

白と黒、そしてその二色をまぜて出来る色、灰色をとりあげてみました。

grisがゲルマン由来と知って勝手に納得したついでに、blanco、negroの語源も調べてみたら、
なんとblancoもゲルマン由来だった・・・これは雪の色だということにしておこう。。。

negroはラテン語からきているみたいでした。

次回はなごむ色をとりあげる予定です!

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