[Musica]偉大なるスペイン語ロックを聴く~ Soda Stereoの作品

[Musica]偉大なるスペイン語ロックを聴く~ Soda Stereoの作品

昨年(2014年9月)に死去したGustavo Cerati(グスタボ・セラティ)

スペイン語を始めてから知ったので、彼の音楽やSoda Stereoを聴くようになったのは2013年と、ずいぶん遅いんですが(すでに病床時だし・・・)、
1980年代から2000年代までに世に出された数多くのアルバムをどこから聴けばいいのか、いや、そもそもどんなアルバムがあるのか手探りで聴いています。

どのアルバムも一度聴き始めるとはまり込んでしまって、なかなか次の作品に移れなくなってしまうので少しずつですが、とりあえずスタジオアルバムを全部聴いてみました。ずいぶんと遅ればせながらですが追悼しつつ、作品を追っていきたいと思います。

Soda Stereo時代のアルバム(スタジオアルバムのみ)

グスタボ・セラティが1982年に結成したSoda Stereoというバンド(1982~1997)のスタジオアルバムだけでも7枚
(リミックスアルバムやライブアルバムをあわせると16枚)

その時代ごとの音がアルバムに反映されてて、一枚として同じような作品がない、というのが特徴。
そして売れても、歌詞が英語にならず、一貫してスペイン語で歌っているところも尊敬

Soda Stereo(1984)


Soda Stereo

1stアルバム。11曲。約35分。

The PoliceやThe Cureといった80年代のバンドの影響が出てる、ポストパンクやニューウィエブ的なアルバム。
やんちゃな感じの曲が多くて若いなー、といった印象。
「Trátame suavemente」(作曲はダニエル・メレロ)もいいですが、シングルカットされた「Sobredosis de T.V.」なんかが好きです。
2008年のライブ版なので、CDとは雰囲気や演奏もちょっと違うけどこんな曲。

Nada personal(1985)


Nada Personal

2ndアルバム。10曲。約40分。

個人的には同時代のDepeche Modeの音を思い出してしまう、ザ・80年代の音、って感じのアルバム。

「Cuando pase el temblor」が有名。
1985年のメキシコ地震がこの曲に影響しているのかはわからないけど、アンデスの葦笛「サンポーニャ」の音が印象的な曲です。
このころから伝統的な音とロックの融合ってあったんだな。はやいな。

そして昔のビデオクリップを発見。もろに80年代ファッションでこんな時代があったなぁ・・・と。Depeche ModeとかThe Cureとかもこんな感じの髪型とか服装してたなぁ。
(ごめん、、、やっぱ笑っちゃう・・・)

ちなみにこのビデオはアルゼンチンのフフイ州にあるチルカラ(Tilcara)というところにあるインカ帝国時代の遺跡?で撮影されたそうな。
サンポーニャの音にイメージががっちり合ってる。

Signos(1986)


Signos

3rdアルバム。8曲。約40分。

初めてのアメリカでの録音。そして多くの批評家がSoda Stereoのアルバムで2番目にイイと評しているようです。
前作の「Nada personal」と雰囲気はちょっと似ているものの、より独自性が出てきている印象があります。

よくライヴで演奏されていた「Persiana americana」もこのアルバム。
ブライアン・デ・パルマの「殺しのドレス」(1980)という映画に着想を得て作られたらしく、ブラインド(Persiana)越しに女性をのぞき見する男を歌ったちょっと怖い曲だけど、明るい曲調からは全然わかんないですね。

これも2007年のライヴから。さっきの80年代ビデオクリップの後に見るとすごいギャップがー。。。

Doble vida(1988)


Doble Vida

4thアルバム。9曲。約40分。

これもアメリカで録音ですが、デビッド・ボウイのギターを長年つとめてたCarlos Alomarをプロデューサーに変えた意欲作。
ファンクやソウルの音を取り入れてアメリカ的ポップミュージックに近くなった、といわれてます。

ライブ版「Picnic en el 4.º B」を聴くと、曲の最後がTalking Headsの「And She Was」(YouTubeへのリンク)になってて思わずニヤリ。

でもとりわけ聴きたいのは名曲「En la ciudad de la furia」。この“ciudad”はブエノスアイレスを指してるらしい。
神秘的でメロディアスで色々考えてしまう曲で何度聴いても聴き飽きないです。
サビの「Me verás volver」は2007年の復活ライヴツアーの名前にもなってます。

会場の熱気がスゴイ!

Canción animal(1990)


Canción animal

5thアルバム。10曲。約40分。

Soda Stereoを聴くならこれは絶対聴かないとだめだろうという、ある意味、1つの頂点を極めたアルバム。

あんまり権威づけとか好きじゃないんですけど、ローリング・ストーン誌の選ぶアルゼンチンのロック100選で9位となるなど、多大なる成功を収めたアルバムでもあります。
アルバムジャケットがカゲキだということでいろんな国でご法度になって差し替えられた経緯もある、こういうところにも「ロック・アルバム」らしい逸話があります。

楽曲は前作までとはがらっと変わって、オルタナ的な匂いがぷんぷんしてます。90年代に入った、ってのがよく分かります。
好きな曲がたくさん、というか全曲のめり込むくらい良いのでチョイスが難しいけど、歌詞が5行程度しかないけど大盛り上がりの「De Música Ligera 」を。

Dynamo(1992)


Dynamo

6thアルバム。10曲。約60分。

売れに売れた後に出るアルバムは作り手にも受け手にも難しい、という法則が当たったようなアルバム。かな。

これまた前作とはガラッと作風が変わって(エレクトロ的)、リリース時はファンのウケもイマイチだったそうですが、だんだんと見直されているようでもあります。
個人的には好きなんですけどね。

「Camaleón」という曲では、グスタボとベースのボシオが楽器を交換して、ボシオがギター、グスタボがベースを弾いているそうで、(ライブも同じ)観てみたいんだけど、見つけられず。。

「Luna roja 」というバラードはエイズを歌った歌で、この楽曲の権利はアルゼンチンのエイズ撲滅団体に移譲しているそうです。

Sueño Stereo(1995)


Sueño Stereo

7thアルバム。12曲。約55分。

Soda Stereo最後のアルバムで、今までの集大成、って感じがするアルバム。

作風もまた前作までとは全く違ってます。プログレ的要素やアート・ロックの要素も言われてますが、個人的には切れ目無く次の曲に入っていくところなど、テクノ-ハウス-ダンス系のアルバムの方法によく似てると思います。

「Disco eterno 」のライブ版。最後のギター、詳しくないのでよく分からないんですが、エフェクターとか使ってるのかな、なんか圧巻のギターワークって感じで感動した。

まとめ

7枚もアルバム(スタジオ)出しておきながら、1枚として同じような二番煎じがない、というのが凄まじいです。

確かに、「その時代その時代の最先端の音」を取り入れているからとも言えますが、その流行に流されているのではないですし。オリジナリティが確立されてるが故にできる業なんだなぁ、と改めて「偉大なる」バンドといわれるゆえんを感じます。

追悼はまだ続いて、次はグスタボ・セラティのソロを聴いてきたいとおもいます
[nlink u=”https://tirimenj5.com/2015/07/28/1491″]